聖ヨゼフは社会人だった!

聖ヨセフは祭司でもなく、修道者でもなく、律法学者でもありませんでした。ナザレの村人、仕事は大工、マリアの夫、イエスの父親、一家の主、すなわち普通の社会人であり、家庭人でした。イエスが宣教を始めた時、村人は「大工の子ではないか!」と不信に思い、つまずきました。みんながヨゼフは自分たちの仲間だと思っていた証拠です。それほどヨゼフには、他の村人と変わった所がありませんでした。ところが、一方では聖霊によって身ごもったマリアを妻として迎え、生まれてくる神の子、救い主イエスの名付け親になり、神の救いの計画に最初から協力していました。
ヨセフは許婚のマリアを心から愛していましたが、神の計らいで結婚そのものが神に協力し神を愛する道に高められました。ヨセフは、もともと大工で生計を立てていましたが、その仕事が幼子イエスを支える道、神の救いに協力する仕事に高められました。ヨセフにとって、家庭生活も社会生活も信仰の邪魔になるどころか、信仰を深める機会に変わったのです。だからこそ、ヨセフはキリスト信者の保護者なのです。信徒の信仰の模範です。平凡な生活と仕事の中で、誰にも気づかれないほど自然に神に協力していました。これが信徒の聖性なのです。
ヨセフは働き者であり、勤労者の保護者です。また、謙遜な方で、義務を忠実に果たし、それ以上のことをしても「すべきことを、しただけです」と感謝を神に向けていました。救い主イエスの地上における父親、神の母マリアの夫、これを「自分はふさわしい者ではない」と明確に自覚しておられましたが、神の願いに応えて、困難な役目を引き受け、言い訳しないで責任を果たしました。これらすべてがヨセフの信仰生活そのものでした。何よりも神を信じ、従い、み旨を愛しておられました。
今年は、聖ヨセフの特別年です。ヨセフの素晴らしい模範は、教会の歴史の中で長らく忘れ去られていました。イエスとマリアが主人公で、いつも脇役だったからでしょう。アビラの聖テレジアが聖ヨゼフの信心を広め、福者ピオIX世教皇がヨセフを「教会の保護者」と宣言しました。平凡で隠れているからこそ、信徒の聖性の模範です。この一年、聖ヨセフの生涯を黙想して、彼に倣いましょう。■
*2021/02/06 社会人のための黙想、2月の説教より(文責:小寺神父)
この記事へのコメント
このスケッチ、全部、トマさんが描いていらっしゃるんですか?! 絵もこんなにお上手だったんですね、びっくりしました ❗これからも楽しみにしています。コロナにお気をつけて、お元気で。